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生きるってなんだろう?

明仁天皇の最初の沖縄訪問 (1/4) 琉歌「歌声の響」

昭和50年(1975年)7月、沖縄国際海洋博覧会の開会式に出席するため、皇太子ご夫妻(現在の明仁天皇美智子皇后)は初めて沖縄を訪問されました。その際に、ハンセン病療養所「沖縄愛楽園」を訪れて入所者一人一人と交流されました。愛楽園からの帰り際、入所者から自然に合唱が起きたそうです。歌われたのは船出を祝う沖縄民謡「だんじょかれよし」。皇太子ご夫妻は真夏の炎天下に立ったまま、その歌に聞き入られたそうです。後に、そのときの光景を皇太子殿下(明仁天皇)は琉歌(八八八六の三十音の琉球定型詩)に詠まれ、妃殿下(美智子皇后)はその琉歌に相応(ふさわ)しい曲を付けられました。こうして「歌声の響」という曲が生まれました。

さて、これから皇太子殿下(明仁天皇)の最初の沖縄訪問と「歌声の響」について4回に分けて紹介していきます。今回はその第1回です。

【目次】
第1回〕琉歌「歌声の響」
第2回〕沖縄民謡「だんじよかれよし」
第3回ハンセン病療養所「沖縄愛楽園」
第4回沖縄戦慰霊碑「ひめゆりの塔

琉歌「歌声の響」

昭和50年(1975年)7月、皇太子ご夫妻(現在の明仁天皇美智子皇后)は初めて沖縄を訪問されました。そのときのハンセン病療養所「沖縄愛楽園」での思い出を、帰京後、皇太子殿下(明仁天皇)は琉歌(りゅうか)に詠まれました。琉歌は八八八六の三十音の形式を持つ琉球定型詩です(他の形式もあるそうです)。

●皇太子殿下の琉歌


だんじよかれよしの 歌声の響
見送る笑顔 目にど残る


(謹訳)私たちの旅の安全を願うだんじよかれよしの 歌声がひびき、
見送ってくれた人々の笑顔が、いつまでの目に残っています。


だんじょかれよしの 歌や湧上がたん
ゆうな咲きゆる島 肝に残て


(謹訳)私たちが立ち去ろうとすると だんじよかれよしの歌声が湧き上がりました。
ゆうなの花が、美しく咲いている島の人々のことがいつまでも心に残っています。


【引用元】沖縄復帰の証言(43) (宮田裕, ゆがふ・うちな~(沖縄)の明るく豊かな未来を語ろう!, 2013/02/26)
http://yugafu-uchina.seesaa.net/article/331929303.html

上記の琉歌は琉球歴史的仮名遣いで書かれているそうで、読む時は下記のカッコ内のように発音するそうです。

だんじよかれよし(ダンジュカリユシ)の(ヌ)歌声(ウタグイ)の(ヌ)響(フィビチ)
見送る(ミウクル)笑顔(ワレガウ)目(ミ)に(ニ)ど(ドゥ)残る(ヌクル)


だんじよかれよし(ダンジュカリユシ)の(ヌ)歌や(ウタヤ)湧上がたん(ワチャガタン)
ゆうな(ユウナ)咲きゆる(サチュル)島(シマ)肝(チム)に(ニ)残て(ヌクティ)

二首目に詠まれている「ユウナ」の花は、和名では「オオハマボウ」と呼ばれている花だそうです。

明仁天皇作詞&美智子皇后作曲「歌声の響」の誕生

皇太子殿下(明仁天皇)が最初に詠まれたのは上記の一首目の琉歌でした。それを愛楽園に贈られたそうです。愛楽園の入所者の方々は最初は沖縄民謡の節に乗せて歌っていたそうですが、そのうち「特別な曲があれば」という声が上がるようになったそうです。そこで皇太子殿下(明仁天皇)の琉歌に相応(ふさわ)しい曲を妃殿下(美智子皇后)が琉球音楽風に作曲されました。その際、皇太子殿下(明仁天皇)は上記の二首目の琉歌を新たに詠まれたそうです。こうして「歌声の響」の曲が生まれました。

下記記事に「歌声の響」誕生の経緯が詳しく書かれています。

○「歌声の響」CDブックに 天皇陛下作詞、皇后さま作曲 ハンセン病療養所訪問機に (朝日新聞, 2015/09/29)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11990016.html

この「歌声の響」を全曲通して聴くことのできる映像を探したのですが、残念ながら見つけられませんでした。その代わりに「歌声の響」の曲の一部を聞くことができる映像を見つけました。下記のニュース映像中の32秒〜48秒あたりで「歌声の響」の曲の一部を聞くことができます。

○両陛下が“サプライズ皇宮警察コンサート (NNN, 2014/10/21) (1分15秒) ( http://www.dailymotion.com/video/x28cu82 )

このコンサートの様子を伝える産経新聞の記事が下記にありました。

○両陛下、傘寿お祝いする皇宮警察コンサートを“サプライズ”ご鑑賞 (産経新聞, 2014/10/21)
http://www.sankei.com/life/news/141021/lif1410210035-n1.html

CDブック「歌声の響」

その「歌声の響」のCDブックが2015年11月に発売されるそうです。

宮内庁(監修)「天皇陛下御作詞 皇后陛下御作曲 歌声の響(CD付)」(朝日新聞出版, 2015/11/06)
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=17510

出版社によると『皇太子時代に沖縄を初めて訪ねられた天皇陛下がお詠みになった御歌に、皇后陛下が曲を添えられた。これまで10回ご訪問されるなど、両陛下の沖縄に対する思いは深い。人々との交流から生まれた御歌を、日本を代表するソプラノ歌手、鮫島有美子が歌い上げる。』とのことです。制作には下記の方々が携わられたそうです。聞き応えのあるCDに仕上がっていることと思います。

「歌声の響」誕生の背景もより詳しく書かれているのではないかと思います。

次回〔第2回〕予告

さて、次回〔第2回〕は琉歌「歌声の響」に詠み込まれている沖縄民謡「だんじよかれよし(ダンジュカリユシ)」についてです。

【目次再掲】
第1回〕琉歌「歌声の響」
第2回〕沖縄民謡「だんじよかれよし」
第3回ハンセン病療養所「沖縄愛楽園」
第4回沖縄戦慰霊碑「ひめゆりの塔